きぶんは年少さん

金爆と私と文化的生活

鬼龍院翔さんが突然繰り出すストレートにぶち抜かれる話〜「#CDが売れないこんな世の中じゃ」「死 ん だ 妻 に 似 て い る」

とんでもねえ歌がある。

ゴールデンボンバーの「#CDが売れないこんな世の中じゃ」だ。

#CDが売れないこんな世の中じゃ<シングルVer.>

#CDが売れないこんな世の中じゃ<シングルVer.>

何よりタイトルがとんでもねえ。
無料DLの仕掛けと併せて、笑ってしまう。
詞の構成がすげえ。
笑っている内に横っ面張られて、気付いたらとんでもないストレートで心撃ち抜かれてる。

曲の入りは痛快なシャウト。
Nanana……かと思いきや「何何何何」と感情たっぷりの疑問符でぶん殴ってくる。
かと思えばラジオのようにCD売上推移の事実情報をぶつけてくる。「景気がいいのakbだけ」「CD売るの諦めよう…」と珠玉のキャッチーな笑えるフレーズが並ぶ。

だが気付けば「芸人も役者も夢は喰い物」と言う全く笑えないフレーズを突き付けられる。これはむごい。じごくのどくろちゃん(筆者)は食い詰めてる役者なので、これには思わず真顔。いや当人からしたら前述の「CD売るの諦めよう…」も笑えないのか?

は〜〜〜とんでもねえな〜〜〜と衝撃のまま聞いていると現れる言葉はさらにとんでもない。
「何故音楽を求める 何故花は枯れる」。
この並列よ。
この詩的さと、スケールの大きさよ。
こんなの、撃ち抜かれてしまう。

突然撃ち抜かれてびっくりしてるうちに、ド頭の「何何何何……」がリフレインして曲は終わってる。何事なのかと混乱しながら、もう一度聴かざるを得ない。

消滅した語彙で言うなら、「とにかくヤバい」のだ。よく出来た短編小説や映画を見せられて度肝を抜かれた時に感覚が似ている。
笑えるおもしろコンテンツに擬態したヤバい爆弾(そういえばバンド名もゴールデンボンバーだ)に気付けば懐に入られて、気付けば重すぎるストレートパンチを食らっている。

逆タイトル詐欺も大概にして欲しいのだ。
(いや、そこも最高なのだが)

逆タイトル詐欺と言えばこの曲も衝撃。

「死 ん だ 妻 に 似 て い る」。

この曲もとんでもねえ。
衝撃を覚えたのが徹頭徹尾「死んだ妻に似ている」し「けれど伝えられず……」なところ。
こういうのって、途中で吹っ切れたり、今妻にしか無い良さを見つけたりするもんじゃないの?
ずっと「死んだ妻に似ている」の?
いや、似ているのか……似ているんだなあ。
そんなに思い悩むなら、もう打ち明けてしまえ!!!と思うが、打ち明けないんだなぁ……。

メロディの、念仏とキラキラの往復も相俟って、とにかくナイーブでハイテンションで偏屈な世界観。
その中で燦然と輝く、
「過去が有るから今生きてる」
という肯定的な力強いフレーズ。
苦い過去を量産しながら生きてるどくろちゃんにはここがクリーンヒット。その直後に「けれど伝えられず……」な所が頼り無さすぎてまたいい。

PVのラストはアレだけど、生への肯定を(勝手に)強く感じました。
この曲も笑ってる内に、気付いたらぶん殴られてる系。

どちらの曲も、私の宝物です。。。。